2025年4月に遡って変わる通勤手当の非課税限度額とは?中小企業が今すぐ押さえるポイント
「2025年通勤手当の非課税限度額改正」をまず整理する回
2. はじめに
「通勤手当の非課税限度額が、2025年4月に遡って変わるらしい」
そんなニュースを目にして、少しドキッとされた方も多いのではないでしょうか。
しかも、この変更は2025年の年末調整で対応が必要になる場合があると案内されています。
「うちの会社も何かしないといけないのか…?」
「そもそも何が変わるのか、ニュースを読んでもよく分からない…」
この記事では、まず Day1 として、
- 何が変わるのか(非課税限度額の中身)
- 誰に関係があるのか(対象になる通勤方法)
- なぜ「2025年4月に遡って」なのか
- なぜ年末調整で対応が必要になるのか
といった 全体像と基本 を、できるだけ専門用語を減らしながら整理していきます。
3. 目次
- 通勤手当の非課税限度額がどう変わるのか(ざっくり全体像)
- 具体的にいくらになる?改正前後の金額一覧
- 誰に影響があって、誰には影響がないのか
- 「2025年4月に遡って適用」とはどういう意味か
- なぜ年末調整で対応が必要になるのか
- 今のうちに会社として確認しておきたい3つのこと
4. 本文
4-1. 通勤手当の非課税限度額がどう変わるのか(ざっくり全体像)
今回の改正のポイントは、次の3つです。
- 対象になるのは「自動車・自転車などで通勤している人」の通勤手当
- その人たちの 「非課税限度額(税金がかからない上限額)」が引き上げ られる
- 新しい非課税限度額は、2025年4月1日以後に支払われるべき通勤手当 に適用される
電車やバスのみで通勤している人の非課税限度額(実費相当額・月15万円まで)は変わりません。
つまり、今回の改正は
「マイカー・自転車通勤の人の非課税枠が増える」=原則として会社も従業員も“得”になる方向の見直し
です。
ただし、2025年の年末調整で“過去分も含めて”まとめて精算する必要が出てくるケースがあるため、
何もしないまま年末を迎えると、経理としては少し面倒なことになりかねません。
4-2. 具体的にいくらになる?改正前後の金額一覧
自動車・自転車などで通勤している人の 1か月あたりの非課税限度額 は、
片道距離ごとに下のように変わります。
| 片道の通勤距離 | 改正前 | 改正後(2025年4月1日以後) |
|---|---|---|
| 2km未満 | 全額課税 | 全額課税 |
| 2km以上〜10km未満 | 4,200円 | 4,200円(変更なし) |
| 10km以上〜15km未満 | 7,100円 | 7,300円 |
| 15km以上〜25km未満 | 12,900円 | 13,500円 |
| 25km以上〜35km未満 | 18,700円 | 19,700円 |
| 35km以上〜45km未満 | 24,400円 | 25,900円 |
| 45km以上〜55km未満 | 28,000円 | 32,300円 |
| 55km以上 | 31,600円 | 38,700円 |
ざっくり見ると、
- 片道10km以上の人は、ほぼ全員「非課税枠が増える」
- 特に 片道55km以上の遠距離通勤の人で+7,100円 と、上がり方が大きい
というのがポイントです。
4-3. 誰に影響があって、誰には影響がないのか
今回の改正で影響を受けるのは、次のようなケースの従業員です。
影響がある人(要チェック)
- マイカー通勤・バイク通勤・自転車通勤をしている
- 片道2km以上で通勤している
- 会社から通勤手当(ガソリン代相当など)を受け取っている
- その金額が、「旧・非課税限度額ギリギリ」または「少し超えている」
影響がほぼない人
- 電車・バスだけで通勤していて、定期代を支給している(非課税枠は変更なし)
- マイカー通勤だが、もともと支給額がかなり少なく、旧限度額より十分低い
- 通勤手当を支給していない(代わりに在宅勤務手当などのみ)
会社としては、
「自動車・自転車で通っている人で、通勤手当をそこそこ払っている社員」が何人いるか
をまず把握しておくことが大事になります。
4-4. 「2025年4月に遡って適用」とはどういう意味か
法律上の表現では、
「令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当」に改正後の非課税限度額を適用する
とされています。
ここでのポイントは、
- 実際にお金を渡した日ではなく、給与規程などで決まっている「本来の支給日」がいつか
- その日が 2025年4月1日以降かどうか
ということです。
例でイメージしてみます。
例①:就業規則で「毎月10日に前月分の通勤手当を支給」としている会社
- 2025年4月10日支給の「3月分通勤手当」
→ 本来の支給日が4/10なので、新しい非課税限度額の対象になる
例②:同じ会社で、4月分通勤手当を3月10日に前払いしている場合
- 本来の支給日が3/10なので、今回の改正の対象にはならず、旧限度額のまま
例③:本来3月10日に払うはずだった2月分通勤手当を、うっかり4月10日に後払いした
- 本来の支給日が3/10のため、旧限度額のまま
ややこしく見えますが、ざっくり言えば
「規程上の支給日ベースで、2025年4月1日以降のものに新ルールがかかる」
と理解しておくと整理しやすいです。
4-5. なぜ年末調整で対応が必要になるのか
2025年11月19日に改正政令が公布され、11月20日に施行されましたが、
対象となる通勤手当そのものは、2025年4月1日以後に支払われるべきもの全体です。
そのため、
- 2025年4月〜11月の間は、「旧・非課税限度額」を前提に源泉徴収してしまっている会社が多い
- しかし本来は、「改正後の非課税限度額」を使うと、一部が新たに非課税扱いになる
というズレが発生します。
国税庁Q&Aでは、
4月1日以後に支払われるべき通勤手当で、11月19日までに支払われたものについては、
遡り計算はせず、年末調整で「新しい非課税限度額」を適用したときの過納税額を精算する
と案内されています。
つまり、
- 4〜11月の間に「旧ルール」で源泉徴収していた分
- それを「新しい非課税限度額」で計算し直したときに、税金を取りすぎている部分があれば、年末調整で還付する
というイメージです。
逆に言えば、
何も確認しないまま年末調整を終えてしまうと、本来戻すべき税金を還付できない可能性がある
という意味で、「注意喚起」が必要な改正と言えます。
4-6. 今のうちに会社として確認しておきたい3つのこと
Day1のまとめとして、今すぐ経営者・経理担当者がチェックしておきたいことを3つに絞ります。
1. 自動車・自転車通勤者のリストアップ
- 誰がマイカー(または自転車)通勤か
- 片道距離は何kmか
- 毎月の通勤手当はいくら支給しているか
2. 旧限度額を超えていそうな人の洗い出し
- 上の一覧から、2025年のどこかの月で
「旧・非課税限度額 ≦ 実際の通勤手当」となっていそうな人をピックアップ - ここが、年末調整で「新ルール」を適用すると還付が出やすい層です
3. 自社の給与ソフト・年末調整の機能確認
- 通勤手当の非課税限度額の改正に対応したアップデートがあるか
- 会社側でExcel等で別途計算する必要があるか
- 源泉徴収簿に「新たに非課税となった金額」等を記載できなくても、
正しく年調税額が出ていれば問題ないと国税庁Q&Aで示されています。
5. まとめ
- 2025年の改正は、マイカー・自転車通勤者の通勤手当の非課税限度額が引き上げられるという内容です。
- 電車・バス通勤者の非課税枠は変わらず、対象は自動車・自転車などの交通用具を使う通勤手当のみです。
- 新しい非課税限度額は、2025年4月1日以後に支払われるべき通勤手当に適用されます。
- 4〜11月に旧ルールで源泉徴収した分は、年末調整で新ルールを適用して過納税額を精算することになります。
- そのため、今のうちに「マイカー通勤者の一覧」「支給額」「給与ソフトの対応状況」を確認しておくことが重要です。
6. FAQ(3問)
Q1. 電車通勤の社員についても、今回の改正で年末調整の対応が必要ですか?
A. いいえ、今回の改正はマイカー・自転車等の通勤手当に関する非課税限度額の引上げです。
電車・バスのみを利用している人の非課税限度額(実費相当額・月15万円まで)は変わらないため、
今回の改正に伴う特別な対応は不要とされています。
Q2. 「2025年4月に遡って適用」と聞くと、今年の分を全部計算し直さないといけないのでしょうか?
A. 国税庁のQ&Aでは、4月1日以後に支払われるべき通勤手当について、
11月19日までに支払ったものについては遡って各月ごとに計算し直す必要はなく、
年末調整の際にまとめて精算するとされています。
Q3. 給与ソフトで「新たに非課税となった金額」を源泉徴収簿に書けないのですが、大丈夫でしょうか?
A. 国税庁Q&Aでは、「正しく年末調整の税額が計算されているのであれば、その金額や計算根拠の記載は省略しても差し支えない」と示されています。
大切なのは、最終的な年調税額が正しくなることです。









