1. エアコンの不備で従業員が熱中症に。会社はどう対応すべきか

ブログ2026.07.31

エアコンの不備で従業員が熱中症に。会社はどう対応すべきか

エアコンの不備で従業員が熱中症に。会社はどう対応すべきか





エアコンの不備で従業員が熱中症に。会社はどう対応すべきか





はじめに



真夏の午後、従業員からこんな報告が入ったとします。



「倉庫のエアコンが止まっています」



修理業者に連絡したものの、訪問できるのは数日後。



繁忙期で、仕事を止めるのも難しい。



窓を開けて扇風機を回し、冷たい飲み物を置けば何とかなるだろう。



そう判断したくなるかもしれません。



しかし、その場所で従業員が熱中症になったらどうでしょうか。



「修理を依頼していた」



「水は用意していた」



「本人が大丈夫と言っていた」



それだけで、会社として十分に対応したといえるでしょうか。



今日は、エアコンの故障や能力不足が起きた場合に、会社が考えるべきことを整理します。





目次




  1. エアコンの設置だけでは対策にならない

  2. 故障を知った後の判断が重要

  3. 安全配慮義務とは何か

  4. そのまま働かせないための代替策

  5. 記録を残す理由





1.エアコンの設置だけでは対策にならない



「うちにはエアコンがあるから大丈夫」



この考えには落とし穴があります。



エアコンがあっても、正常に動いていなければ意味がありません。



設定温度を下げても室温が下がらない場合、能力不足や故障、フィルターの目詰まりなどが考えられます。



また、部屋全体は涼しくても、一部の作業場所に冷気が届いていない場合があります。



厚生労働省のガイドラインでは、高温多湿な作業場所に冷房や通風設備などを設けることを検討し、すでに設置されている冷房設備については、その機能を点検することが示されています。



つまり、「あるかどうか」だけでなく、「働く場所で実際に機能しているか」が重要です。





2.故障を知った後の判断が重要



設備は突然故障することがあります。



故障自体を完全に防ぐことは難しいでしょう。



しかし、故障を知った後に何をしたかは重要です。



たとえば、次のような違いがあります。



一つ目の会社は、エアコンの故障を確認した後も、いつもどおり作業を続けさせました。



二つ目の会社は、作業場所の温度や暑さ指数を確認し、作業時間を短くし、別の涼しい場所で作業できるようにしました。修理までの間は業務時間も変更しました。



同じ設備故障でも、会社の対応は大きく異なります。



危険を知りながら放置したのか。



危険を減らすために、現実的な対策を講じたのか。



後から問われるのは、この部分です。





3.安全配慮義務とは何か



会社には、従業員が生命や身体の安全を確保しながら働けるよう、必要な配慮をする責任があります。



これを一般に安全配慮義務と呼びます。



熱中症対策では、法律で示された報告体制や対応手順を作るだけでなく、予測できる危険に対して、職場の状況に応じた対応を取ったかが重要になります。



ただし、どのような場合に安全配慮義務違反になるかは、事故の状況、会社が危険を把握していたか、どのような対策をしていたかなどによって個別に判断されます。



「エアコンが壊れたら、必ず会社の責任になる」という単純な話ではありません。



一方で、異常な暑さを認識し、エアコンの故障も把握していたのに、作業方法を変えず、休憩も増やさず、従業員からの訴えも放置した場合には、会社の対応が問題になる可能性があります。



そのため、「最低限のルールを作ったから法的に安心」と考えるのは危険です。





4.そのまま働かせないための代替策



エアコンが故障した場合、まず考えるべきことは、通常どおりの作業を続けられる環境かどうかです。



危険が高い場合には、次のような対応を組み合わせます。




作業場所を変更する



別室、別店舗、共有スペース、在宅勤務など、より涼しい場所へ移動できないか検討します。





作業時間を変更する



暑さが厳しい時間を避け、早朝や夕方に作業を移します。





作業量を減らす



納期や生産量を優先するあまり、危険な状態で通常どおり働かせてはいけません。





休憩回数を増やす



涼しい場所で身体を冷やす時間を確保します。



休憩場所まで遠い場合は、移動時間も含めて考える必要があります。





仮設設備を使う



スポットクーラー、移動式エアコン、遮熱シート、送風設備などを検討します。



ただし、扇風機だけでは、気温が高い場所で熱い空気を回すだけになる場合があります。





業務を中止する



代替策を講じても安全を確保できない場合は、作業の中止も必要です。



売上や納期への影響は小さくありません。



それでも、従業員の生命や健康より優先することはできません。






5.記録を残す理由



熱中症対策の記録は、責任逃れのために作るものではありません。



同じ問題を繰り返さないために必要です。



少なくとも、次の内容を残しておきましょう。




  • 故障や異常を確認した日時

  • 室温や暑さ指数

  • 従業員からの申告内容

  • 修理を依頼した日時

  • 応急対応の内容

  • 作業時間や場所の変更

  • 体調不良者への対応

  • 復旧を確認した日時



記録があれば、翌年の点検時期や、設備更新の判断にも使えます。



「去年も同じ時期に故障した」



「午後になると能力が足りなくなる」



「この作業場所だけ温度が高い」



こうした傾向が見えるようになります。





まとめ+要約



エアコンは、設置されているだけでなく、実際の作業場所で正常に機能していることが重要です。



故障や能力不足を把握した場合は、そのまま通常どおり働かせるのではなく、作業場所、作業時間、作業量、休憩、仮設設備などを見直す必要があります。



法令上の体制や手順を整えていても、危険な職場環境を放置してよいわけではありません。



熱中症による被害が起きた場合、安全配慮が十分だったかは、会社が危険をどこまで把握し、どのような対応を取ったかによって個別に判断されます。



設備の異常に気づいたら、修理依頼だけで終わらず、安全に働ける状態かを改めて判断しましょう。





FAQ




Q1.エアコンが故障しても、扇風機があれば仕事を続けられますか?



気温や湿度、作業内容によって異なります。高温の場所では、扇風機だけでは十分に身体を冷やせない場合があります。暑さ指数を確認し、場所や時間の変更を含めて判断してください。





Q2.従業員本人が「大丈夫」と言えば働かせてもよいですか?



本人が大丈夫と言っていても、判断力が低下している可能性があります。職場として体調や受け答えを確認し、危険があれば作業を中断させる必要があります。





Q3.修理業者をすぐ呼べない場合はどうすればよいですか?



作業場所の変更、時間短縮、休業、在宅勤務、仮設冷房などを検討します。安全を確保できない状態で、通常どおりの作業を続けさせないことが重要です。









記事・相談担当者:井浪(いなみ):Amazon/Kindle 著者ページ

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