1. 2026年10月「106万円の壁」撤廃へ|中小企業がまず知るべき社会保険料負担の変化

ブログ2026.06.29

2026年10月「106万円の壁」撤廃へ|中小企業がまず知るべき社会保険料負担の変化

2026年10月「106万円の壁」撤廃へ|中小企業がまず知るべき社会保険料負担の変化



2026年10月「106万円の壁」撤廃へ|中小企業がまず知るべき社会保険料負担の変化





はじめに


「パートさんの働き方が変わるらしい」

「会社の社会保険料が増えると聞いた」

「でも、うちは小さな会社だからまだ関係ないのでは?」



2026年10月に予定されている「106万円の壁」の撤廃は、中小零細企業にとって、単なる制度変更ではありません。人件費、採用、シフト、給与設計、従業員説明に関わる大きな見直しポイントです。



これまで、短時間で働くパート・アルバイトの社会保険加入には、月額賃金8.8万円以上、いわゆる年収106万円程度という条件がありました。しかし、この賃金要件は2026年10月に撤廃予定です。



つまり、今後は「年収がいくらか」よりも、主に「週20時間以上働くかどうか」が、社会保険加入を考えるうえで重要になります。







1. 「106万円の壁」とは何だったのか



「106万円の壁」とは、パート・アルバイトなどの短時間労働者が、会社の社会保険に入るかどうかを判断する条件のひとつです。



これまで、短時間労働者が社会保険に加入するには、主に次のような条件がありました。



週の所定労働時間が20時間以上であること、月額賃金が8.8万円以上であること、勤務先が一定規模以上の企業であること、学生ではないことなどです。厚生労働省資料でも、月額8.8万円以上の賃金要件が「いわゆる年収106万円の壁」と説明されています。



これまでは、従業員側も会社側も「106万円を超えないように働く」「月額8.8万円を超えないようにシフトを組む」といった調整をすることがありました。



しかし、その前提が変わろうとしています。





2. 2026年10月に何が変わるのか



2026年10月には、この月額8.8万円以上という賃金要件が撤廃される予定です。厚生労働省は、全都道府県で令和7年度地域別最低賃金が時給1,016円を超えたことにより、週20時間以上働く人は自動的に月額8.8万円以上となるため、令和8年10月に賃金要件を撤廃予定と説明しています。



中小企業にとって大切なのは、制度の言葉ではなく、現場で何が起きるかです。



たとえば、今まで「週20時間以上働いているが、給与額を意識して調整していた人」がいる場合、今後は社会保険加入の対象になる可能性が高くなります。



社会保険に加入すると、従業員本人は保険料を負担します。そして会社も、健康保険料や厚生年金保険料を負担します。



つまり、従業員にとっては手取りが変わり、会社にとっては人件費が変わります。





3. 中小零細企業に起きやすい3つの影響




影響1:社会保険料の会社負担が増える



もっともわかりやすい影響は、会社負担の社会保険料が増えることです。



これまで社会保険に加入していなかったパート・アルバイトが加入対象になれば、会社は保険料を負担する必要があります。人数が数人でも、年間で見ると負担感は小さくありません。



特に、利益率が低い業種、パート比率が高い業種、時給引き上げの影響を受けやすい業種では、早めの試算が必要です。





影響2:従業員からの相談が増える



「手取りは減るのですか?」

「扶養から外れますか?」

「働く時間を減らした方がいいですか?」

「社会保険に入るメリットはありますか?」



このような質問が、現場に一気に増える可能性があります。



会社が制度をよく理解していないと、従業員も不安になります。不安が大きくなると、退職や勤務時間の調整につながることもあります。





影響3:シフトと採用計画の見直しが必要になる



「週20時間以上」が大きな判断軸になるため、今後はシフト設計も重要になります。



週20時間未満で働きたい人、社会保険に入って長く働きたい人、手取りを重視したい人、将来の年金や保障を重視したい人。それぞれの希望が分かれます。



会社側は、単に「保険料が増えるから困る」と考えるのではなく、働き方の希望を聞きながら、人員配置を見直す必要があります。






4. 今から確認しておきたいこと



まず行うべきことは、対象者の洗い出しです。



現在、週20時間前後で働いているパート・アルバイトが何人いるか。月額賃金はいくらか。今後、勤務時間が増える可能性がある人はいるか。社会保険加入に前向きな人、手取り減を心配している人は誰か。



この確認を早めに行うだけで、2026年10月の混乱をかなり減らせます。



また、企業規模要件も今後段階的に縮小されます。厚生労働省資料では、現在の従業員51人以上から、2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上、2035年10月に10人以下へと段階的に対象が広がる予定とされています。



「うちは小さいから関係ない」と思っている会社ほど、早めの確認が安心につながります。





まとめ



2026年10月に予定されている「106万円の壁」の撤廃は、短時間労働者の働き方と、会社の社会保険料負担に大きく関わる改正です。



大切なのは、制度を怖がることではありません。

対象者を確認し、負担額を試算し、従業員にわかりやすく説明できる準備をすることです。



中小零細企業にとって、この改正は負担増の話である一方、人材定着や働き方の見直しのきっかけにもなります。





FAQ




Q1. 2026年10月から、すべてのパートが社会保険に入るのですか?


いいえ。すべてのパートが対象になるわけではありません。週20時間以上、学生でないこと、企業規模要件など、一定の条件を満たす場合に対象となります。





Q2. 会社の社会保険料負担は必ず増えますか?


対象者が増えれば、会社負担は増える可能性があります。まずは、現在のパート・アルバイトの勤務時間と賃金を確認し、どのくらい影響があるか試算することが大切です。





Q3. いま何から始めればいいですか?


最初に行うべきことは、週20時間以上働いている、または今後その可能性がある従業員の洗い出しです。そのうえで、保険料負担、本人説明、シフト設計を順番に確認しましょう。





記事・相談担当者:井浪(いなみ):Amazon/Kindle 著者ページ

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