労働安全衛生法改正への備え方まとめ|中小企業が相談前に整理しておきたいこと
はじめに
5日間にわたり、労働安全衛生法改正と、フリーランス・個人事業者等への安全衛生対策について見てきました。
ここまで読んだ経営者の方の中には、少し不安になった方もいるかもしれません。
「うちはどこまで対応すればいいのか」
「外注先が多くて整理できていない」
「現場任せになっている部分がある」
「事故が起きる前に見直したい」
その感覚は、とても大切です。
不安があるということは、見直すべきポイントに気づき始めているということだからです。
1. 今回の改正で押さえるべき全体像
今回の改正の大きなポイントは、労働者だけでなく、同じ場所で働く個人事業者等も安全衛生対策の対象として考えることです。
厚生労働省は、個人事業者等を労働安全衛生法による保護の対象および義務の主体として位置づけ、注文者等や個人事業者等自身が講ずべき各種措置を定めたと説明しています。
つまり、今後の実務では、次の3者の関係を整理することが重要です。
- 発注する会社、注文者
- 作業場所を管理する会社
- 実際に作業する個人事業者等
この3者の間で、危険情報、作業条件、責任範囲、安全対策があいまいになると、事故やトラブルにつながりやすくなります。
2. 中小企業が特に注意する場面
中小企業が特に注意したいのは、次のような場面です。
まず、自社の事業場に外部の人が入る場面です。
工場、倉庫、店舗、事務所、建設現場、イベント会場などで、外部業者や個人事業者が作業する場合は注意が必要です。
次に、従業員と外部作業者が同じ場所で作業する場面です。
厚生労働省資料では、混在作業による災害防止対策の強化が示されています。
さらに、発注条件が安全に影響する場面です。
短納期、夜間作業、追加作業、費用圧縮、作業方法の指定などは、安全衛生に影響する可能性があります。厚生労働省資料でも、発注条件が受注者の安全衛生に影響を及ぼす可能性があることが示されています。
3. 2026年・2027年に向けた準備の考え方
厚生労働省の資料では、改正法の施行期日は段階的に設定されており、令和8年4月1日、つまり2026年4月1日を中心に、一部は令和9年1月1日、令和9年4月1日などとされています。
特に、個人事業者等自身が講ずべき措置や業務上災害の報告制度等についても示されています。
中小企業としては、「施行日になってから慌てる」のではなく、次の順番で準備すると進めやすくなります。
最初に、自社に入る外部作業者を把握します。
次に、危険がある場所や作業を確認します。
そのうえで、作業前に伝える内容を決めます。
最後に、発注時・契約時にあいまいになりやすい点を整理します。
この順番で進めれば、大きな負担をかけずに、現実的な対策を始められます。
4. 相談前に整理しておくとよい情報
専門家や相談先に相談する前に、次の情報を整理しておくと、話がスムーズになります。
まず、自社にどのような外部作業者が入っているかです。
業種、作業内容、頻度、作業場所を整理します。
次に、危険がある作業や場所です。
高所作業、機械作業、重量物、車両、熱中症、化学物質、夜間作業、一人作業などを確認します。
そして、現在どのように説明しているかです。
口頭だけなのか、紙で渡しているのか、掲示しているのか、記録を残しているのかを確認します。
最後に、発注時の条件です。
作業範囲、納期、費用、安全対策の扱い、追加作業の確認方法があいまいになっていないかを見ます。
ここまで整理できれば、自社に必要な対応がかなり見えやすくなります。
まとめ+要約
労働安全衛生法の改正により、中小企業は、従業員だけでなく、同じ場所で働くフリーランス、個人事業者、一人親方、出入り業者などにも目を向ける必要があります。
重要なのは、外部人材を使わないことではありません。
外部人材と安全に働ける仕組みを作ることです。
自社に入る人を把握し、危険箇所を伝え、作業条件を明確にし、無理な発注を避ける。
この基本を積み重ねることが、事故防止と経営リスクの低減につながります。
不安がある場合は、早めに状況を整理し、自社に合った形で対応を進めることが大切です。
FAQ
Q1. 2026年4月1日からすべてが一度に始まるのですか?
すべてが同時ではなく、段階的に施行されます。厚生労働省資料では、令和8年4月1日を中心に、一部は令和9年1月1日や令和9年4月1日などとされています。
Q2. 外注を使うこと自体が危険になるのですか?
いいえ。外注や個人事業者を使うこと自体が問題なのではありません。安全に作業できるよう、危険情報や作業条件を共有することが重要です。
Q3. 何を相談すればよいか分かりません。
まずは「自社にどんな外部作業者が入り、どんな作業をしているか」を整理して相談すると、必要な対応が見えやすくなります。









