1. フリーランスにも安全配慮が必要になる理由|中小企業が知るべき法改正の背景

ブログ2026.05.11

フリーランスにも安全配慮が必要になる理由|中小企業が知るべき法改正の背景

フリーランスにも安全配慮が必要になる理由|中小企業が知るべき法改正の背景






フリーランスにも安全配慮が必要になる理由|中小企業が知るべき法改正の背景





フリーランスにも安全配慮が必要になる理由|中小企業が知るべき法改正の背景




はじめに



法律が変わると聞くと、多くの経営者はこう感じます。



「また負担が増えるのか」

「うちのような小さな会社にも関係あるのか」

「結局、何をすればいいのか分からない」



その気持ちは自然です。



ただ、今回の労働安全衛生法改正は、単なる手続きの追加ではありません。

背景にあるのは、働き方が大きく変わった現実です。



社員、外注、フリーランス、一人親方、出入り業者。

現場には、さまざまな立場の人が一緒にいます。



その中で事故が起きたとき、契約書の区分だけで人の安全を分けることは難しくなっています。







1. 改正の背景にある「働き方の変化」



以前の職場は、正社員を中心に組織が作られていました。

しかし今は違います。



建設、製造、物流、設備、清掃、IT、デザイン、イベント、店舗運営など、さまざまな業種で外部人材が現場に入ります。



中小企業でも、次のような働き方は珍しくありません。




  • 工場設備の点検を外部業者に依頼する

  • 倉庫作業の一部を委託する

  • 建設現場に一人親方が入る

  • 店舗改装を個人事業主に依頼する

  • IT保守や撮影、設営などをフリーランスに任せる



このとき、外部の人がケガをするリスクは、従業員と同じ場所にあります。



厚生労働省は、労働者と同じ場所で働く個人事業者等を保護の対象および義務の主体として位置づけたと説明しています。



つまり、働く人の形が変わったから、安全管理の考え方も変わる必要があるのです。





2. 最高裁判決から見える考え方



今回の流れを理解するうえで重要なのが、建設アスベスト訴訟の最高裁判決です。



厚生労働省資料では、建設アスベスト訴訟最高裁判決において、労働安全衛生法第22条は、労働者だけでなく、同じ場所で働く労働者でない者も保護する趣旨との判断が示されたと説明されています。



ここで大切なのは、法律の細かい条文よりも、考え方です。



同じ場所で、同じ危険にさらされている。

それなら、労働者か個人事業主かだけで安全を分けるのは適切ではない。



この考え方が、今回の改正の土台にあります。



中小企業経営者にとっては、次のように理解すると分かりやすいです。



「雇用しているかどうか」だけではなく、

「自社の仕事、自社の場所、自社の指示や条件によって危険が生じていないか」を見る。



これが、今後の安全衛生対策の基本になります。





3. 注文者にも安全配慮が求められる理由



「外注先はプロなのだから、安全管理も自分でできるはず」



この考え方は、一部では正しいです。

個人事業者等自身にも安全を守る責任があります。



しかし、発注者や作業場所の管理者にしか分からない危険もあります。



たとえば、




  • どこに段差があるか

  • どの機械が危険か

  • どの区域が立入禁止か

  • いつ他の作業者が入るか

  • どの通路を使うべきか

  • 作業中に停止すべき設備があるか

  • 熱中症や化学物質のリスクがあるか



これらは、現場を管理している側が伝えなければ、外部の人には分かりません。



厚生労働省資料では、注文者の責務の範囲について、建設工事以外の注文者にも広く適用されるよう、作業場所や作業方法の指定など、注文者の関与の状況を踏まえた具体的措置内容を明確化するとされています。



つまり、発注者が作業場所や作業方法に関わるほど、安全面での関与も求められやすくなります。





4. 中小企業が誤解しやすい3つのポイント



1つ目の誤解は、「従業員ではないから関係ない」という考えです。



今回の改正では、個人事業者等も安全衛生対策の対象として位置づけられています。

そのため、雇用契約がないから何もしなくてよい、とは考えない方が安全です。



2つ目の誤解は、「危険な業種だけの話」という考えです。



建設業や製造業は特に注意が必要ですが、それだけではありません。

店舗、倉庫、物流、清掃、イベント、設備保守などでも、転倒、墜落、熱中症、感電、機械接触などのリスクがあります。



3つ目の誤解は、「書類を作れば終わり」という考えです。



もちろん、記録や契約内容の明確化は重要です。

しかし、本当に大切なのは現場で伝わっているかどうかです。



「危ない場所を知っている」

「入ってはいけない場所を理解している」

「異常時にどこへ逃げるか分かっている」

「誰に連絡すればよいか分かっている」



この状態を作ることが、実務上の安全対策になります。





まとめ+要約



今回の労働安全衛生法改正の背景には、働き方の多様化があります。

同じ現場で働く人が、社員だけではなくなったため、安全衛生対策も雇用契約の有無だけで分けられなくなっています。



発注者や作業場所の管理者は、自社が管理する場所、自社が指定する作業方法、自社が設定する納期や条件によって、外部人材に危険を生じさせていないかを確認する必要があります。



中小企業がまず避けるべきなのは、「外注だから関係ない」という思い込みです。





FAQ




Q1. 今回の改正は建設業だけの話ですか?


建設業は特に関係が深いですが、それだけではありません。厚生労働省資料では、建設工事以外の注文者にも広く適用されるよう趣旨を明確化するとされています。





Q2. 個人事業主が自分で安全対策をすれば、発注者は何もしなくてよいですか?


いいえ。個人事業者等自身にも責任はありますが、発注者や作業場所の管理者にしか分からない危険情報は、事前に伝える必要があります。





Q3. 何を伝えればよいですか?


危険箇所、立入禁止区域、作業方法、保護具の必要性、緊急時の連絡先、退避方法などを伝えることが基本です。









記事・相談担当者:井浪(いなみ):Amazon/Kindle 著者ページ

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