改正物流効率化法を経営改善につなげる方法|相談前に整理すべきこと
はじめに
ここまで、改正物流効率化法について、現場目線で見てきました。
Day1では、法律の全体像。
Day2では、荷待ち・荷役・積載効率。
Day3では、現場で起きるつまずき。
Day4では、実務対応の具体策。
最終日のこの記事では、物効法対応を「ただの法律対応」で終わらせず、経営改善につなげる考え方を整理します。
中小零細の運送会社にとって、本当に大切なのは、書類を整えることだけではありません。
ドライバーを守ること。
無理な取引を見直すこと。
荷主と対等に話せる材料を持つこと。
利益が残る運送体制を作ること。
そのために、相談前に何を整理しておくべきかをお伝えします。
物効法対応は経営改善のきっかけになる
改正物流効率化法への対応は、最初は面倒に感じるかもしれません。
記録が増える。
荷主との話し合いが必要になる。
現場の作業を見直さなければならない。
社内で担当を決めなければならない。
しかし、視点を変えると、これは経営改善のきっかけになります。
なぜなら、これまで見過ごされてきた問題を、数字で見えるようにできるからです。
たとえば、
待機時間が長いのに料金に反映されていない。
契約外の荷役作業が当たり前になっている。
急な依頼が多く、配車効率が悪い。
低積載の便が多く、利益が残りにくい。
ドライバーの拘束時間が長く、採用や定着に悪影響が出ている。
これらはすべて、経営課題です。
改正物流効率化法では、すべての荷主・物流事業者に、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮に取り組むことが求められています。
つまり、現場改善は「やったほうがいいこと」から、「社会全体で進めるべきこと」へ変わっています。
相談前に整理すべき5つの情報
専門家や支援者に相談する前に、次の5つを整理しておくと、話がスムーズになります。
1. 荷主別の待機時間
どの荷主で、どれくらい待っているのかを整理します。
平均待機時間。
最長待機時間。
月間の発生回数。
発生しやすい曜日や時間帯。
これが分かると、改善優先度を決めやすくなります。
2. ドライバーが行っている荷役作業
荷積み、荷卸し、検品、仕分け、棚入れ、ラベル貼り、伝票処理など、ドライバーが実際に行っている作業を書き出します。
その作業が契約に含まれているか。
料金に反映されているか。
安全上の問題がないか。
ここを確認することで、荷主や元請けと話す材料になります。
3. 荷主別の困りごと
荷主ごとに、困りごとは違います。
A社は待機が長い。
B社は手作業が多い。
C社は時間指定が厳しい。
D社は急な変更が多い。
E社は運賃が実態に合っていない。
このように分けておくと、相談時に具体的な対策を考えやすくなります。
4. 契約書・運賃表・作業条件
現在の契約内容も確認しておきましょう。
運送契約書。
見積書。
運賃表。
附帯作業の取り決め。
待機料金の有無。
キャンセルや急な変更時の扱い。
契約があいまいな場合も、その事実を整理することが重要です。
「契約書がないから相談できない」のではありません。
「契約書がないこと」自体が、見直しのテーマになります。
5. 社内で困っていること
最後に、社内の悩みも整理します。
ドライバーが定着しない。
配車担当が疲弊している。
利益が残らない。
荷主に言い出せない。
記録が続かない。
何から始めればよいか分からない。
こうした悩みは、遠慮せずに出してください。
制度対応は、現場の実情に合わせて進める必要があります。
荷主との交渉で大切な伝え方
荷主との話し合いでは、感情的にならないことが大切です。
もちろん、現場には不満があります。
「何時間待たせるんだ」
「そこまで作業させるなら料金を払ってほしい」
「無理な時間指定ばかりでは回らない」
そう感じるのは自然です。
しかし、そのまま伝えると、相手は防御的になります。
おすすめは、次の順番で話すことです。
まず、現状を共有する。
次に、数字を示す。
そのうえで、影響を説明する。
最後に、改善案を出す。
たとえば、次のような伝え方です。
「現在、御社の納品時に平均70分ほどの待機が発生しています」
「この状態が続くと、次便への影響やドライバーの拘束時間増加につながります」
「今後も安定して輸送を続けるために、受付時間の分散や予約制について相談できないでしょうか」
このように伝えると、相手も受け止めやすくなります。
厚生労働省の物流情報局でも、荷待ち時間の短縮に向けた工夫として、トラック予約受付システムの導入や、混雑時間を避けた日時指定などが示されています。
つまり、こちらの要望だけではなく、国が示す方向性にも合った提案になります。
中小運送会社が目指すべき姿
これからの中小運送会社に必要なのは、ただ言われた通りに運ぶだけの立場から抜け出すことです。
もちろん、荷主との関係は大切です。
仕事をいただく立場として、言いにくいこともあるでしょう。
しかし、無理を続ければ、現場が先に壊れます。
ドライバーが辞める。
事故リスクが上がる。
配車が回らなくなる。
利益が残らなくなる。
結果として、荷主にも迷惑がかかります。
だからこそ、これからは次のような会社を目指す必要があります。
現場の時間を把握している会社。
荷主に改善提案ができる会社。
契約外作業をあいまいにしない会社。
ドライバーの拘束時間を管理できる会社。
積載効率や配車効率を数字で見られる会社。
無理な仕事をそのまま受けず、相談できる会社。
これは、大企業だけの話ではありません。
中小零細企業だからこそ、少人数で動きやすい面もあります。
社長と現場の距離が近いからこそ、改善の声を拾いやすい面もあります。
物効法対応は、会社を変えるきっかけになります。
まず一歩進めたい方へ
ここまで読んで、こう感じた方もいるかもしれません。
「必要性は分かったけれど、自社だけでは整理しきれない」
「荷主にどう言えばいいか分からない」
「記録の取り方から相談したい」
「契約や料金の見直しにつなげたい」
「何から手をつけるべきか一緒に考えてほしい」
その場合は、ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。
特に中小運送会社では、日々の運行を回しながら、制度対応、荷主交渉、現場改善を同時に進めるのは簡単ではありません。
まずは、現状を整理するところから始めましょう。
荷待ちが長い現場。
荷役作業が重い現場。
利益が残りにくい案件。
ドライバーから不満が出ている取引。
荷主に相談したいが言い出せていないこと。
これらを一つずつ見える化するだけでも、次の一手が見えてきます。
まとめ+要約
改正物流効率化法への対応は、単なる法律対応ではありません。
中小運送会社にとっては、荷待ち時間、荷役作業、積載効率、契約条件、荷主との関係を見直すきっかけになります。
相談前には、荷主別の待機時間、ドライバーが行っている荷役作業、荷主別の困りごと、契約書や運賃表、社内の悩みを整理しておくと効果的です。
荷主との交渉では、相手を責めるのではなく、現状、数字、影響、改善案の順番で伝えることが大切です。
これからの運送会社には、現場の実態を数字で把握し、荷主と改善を話し合える力が求められます。
物効法対応をきっかけに、ドライバーを守り、利益を守り、選ばれる運送会社へ変わっていきましょう。
FAQ
Q1. 物効法対応を経営改善につなげるには何が必要ですか?
現場の実態を数字で把握することが必要です。荷待ち時間、荷役作業、低積載、契約外作業などを見える化することで、荷主交渉や社内改善につなげられます。
Q2. 荷主に改善を相談するとき、何を準備すべきですか?
平均待機時間、作業内容、発生頻度、自社への影響、改善案を準備してください。感情ではなく、事実と数字で伝えることが重要です。
Q3. 相談する前に契約書がない場合はどうすればよいですか?
契約書がない場合でも相談できます。むしろ、契約内容があいまいであること自体が見直しポイントです。現在の運賃表、見積書、請求書、作業実態などを整理しておきましょう。









