1. 介護事業者が今日からできる オールハザード型BCP・BCM見直し5ステップ

ブログ2026.04.22

介護事業者が今日からできる オールハザード型BCP・BCM見直し5ステップ

介護事業者が今日からできる オールハザード型BCP・BCM見直し5ステップ

介護事業者が今日からできる オールハザード型BCP・BCM見直し5ステップ



はじめに


ここまでで、「感染症と災害だけでは足りない」という感覚が少し見えてきたかもしれません。

では実際に、何から始めればよいのでしょうか。



オールハザード対応というと難しそうに聞こえますが、最初から完璧を目指す必要はありません。

大切なのは、危機の種類を増やすことではなく、重要業務を守る仕組みを少しずつ広げることです。



感染症、自然災害、停電、システム障害、サイバー事故。名前は違っていても、実際に現場で起こる困りごとには共通点があります。

たとえば、連絡が止まる、記録が残せない、担当者の判断が遅れる、請求や報告が滞る、といった問題です。



つまり、危機ごとに別々の計画を増やし続けるよりも、「何が起きても、最低限これだけは回す」という視点で整えるほうが、現場では役に立ちます。



Day4では、介護事業者がオールハザード型BCP・BCMへ見直していくための基本ステップを、実務に落とし込みやすい形で整理していきます。



目次



  • 1. ステップ① 重要業務を決める

  • 2. ステップ② 業務停止の原因を横並びで見る

  • 3. ステップ③ 代替手段を用意する

  • 4. ステップ④ 連絡と判断の流れを明確にする

  • 5. ステップ⑤ 訓練と見直しを仕組みにする



本文



1. ステップ① 重要業務を決める


最初にやるべきことは、全部を守ろうとしないことです。

まずは、止められない業務を決めます。



たとえば介護事業者なら、



  • 利用者の安全確保

  • 職員間の連絡

  • 家族や関係先への連絡

  • ケア記録の最低限の継続

  • 請求や報告の継続



このように整理できます。



ここで大切なのは、「普段やっている業務を全部並べること」ではなく、「止まると本当に困るものは何か」を選ぶことです。

緊急時には人も時間も足りません。だからこそ、優先順位を決めておかなければ、現場はかえって混乱します。



また、重要業務は現場だけで決めるのではなく、管理者や事務担当も交えて考えることが大切です。

現場は利用者対応を重視し、事務は請求や報告を重視し、経営者は全体の継続性を重視します。視点を重ねることで、抜け漏れが減ります。



2. ステップ② 業務停止の原因を横並びで見る


次に、同じ業務が何によって止まるのかを見ます。



たとえば「記録業務」なら、



  • 感染症:人手不足で記録が追いつかない

  • 災害:停電や設備被害で入力できない

  • サイバー:システム障害や攻撃で閲覧・入力できない



このように並べると、危機ごとの違いと共通点が見えてきます。



ここがオールハザード対応の大事なところです。

危機の名前は違っても、「記録ができない」という困りごとは同じです。そうであれば、必要な対策もある程度共通します。たとえば紙の様式を準備する、最低限必要な記録項目を決める、後から転記する流れを決めておく、といった対応です。



この見方ができるようになると、計画は一気に整理しやすくなります。危機を増やしても複雑になるのではなく、むしろ共通対策が見えやすくなるのです。



3. ステップ③ 代替手段を用意する


オールハザード対応で実は一番効くのが、代替手段の準備です。




  • 紙の記録様式を印刷して保管

  • 緊急連絡網を紙でも持つ

  • 重要連絡先を端末以外でも見られるようにする

  • 請求や報告の締切と代替フローを確認する

  • 委託先やベンダーの緊急連絡先を整理する



派手ではありませんが、こうした準備が強いです。



実際、危機時に現場を助けるのは高度な理論よりも、すぐ使える代替手段です。

停電でも、感染症でも、サイバー事故でも、「紙で回せる」「別の連絡手段がある」「連絡先が手元にある」といった備えは共通して役立ちます。



特に介護事業者では、利用者情報、家族連絡、勤務調整、請求関連など、止めてはいけない情報が多くあります。だからこそ、デジタルが使えない前提で最低限どう動くかを決めておくことが重要です。



4. ステップ④ 連絡と判断の流れを明確にする


危機時に混乱しやすいのは、誰が決めるかが曖昧なときです。




  • 誰が初動を判断するのか

  • 誰が職員に共有するのか

  • 誰が家族や取引先に連絡するのか

  • 誰がベンダーや専門家と調整するのか



ここを決めておくだけで、初動の速さが変わります。



よくあるのは、「誰かがやるだろう」と思っていた業務が、実際には誰にも引き取られないケースです。

その結果、連絡が遅れ、判断が止まり、現場が不安定になります。



連絡と判断の流れは、難しく作る必要はありません。

たとえば、「最初に確認する人」「次に報告を受ける人」「外部へ連絡する人」を決めるだけでも十分です。組織が小さいほど、このシンプルさが効きます。



5. ステップ⑤ 訓練と見直しを仕組みにする


BCMとして回すなら、見直しの予定を最初から入れておくことが大切です。

年1回でも、担当会議の一部でもかまいません。



おすすめは、年に1回だけでも次の問いを確認することです。



  • 新しいシステム依存が増えていないか

  • 委託先が変わっていないか

  • 連絡網が古くなっていないか

  • サイバー想定が抜けたままになっていないか



BCPは、一度作ったら終わりではなく、事業の変化に合わせて更新していくものです。

新しい介護ソフトを導入した、クラウド利用が増えた、委託先が変わった、担当者が異動した。こうした変化があれば、BCPも見直さなければ実態に合わなくなります。



また、訓練は大がかりでなくて大丈夫です。

「記録システムが朝から止まったらどうするか」「職員連絡がメールでできなくなったらどうするか」といった想定を、短時間でも話し合うだけで効果があります。



こうした見直しと訓練を習慣にすることで、BCPはようやくBCMとして機能し始めます。計画を作ることより、回し続けることのほうが、実はずっと大切です。



まとめ


オールハザード型BCP・BCMは、難しい理論から始める必要はありません。重要業務を決め、停止原因を横並びで見て、代替手段と初動体制を整え、訓練で回す。この流れを作ることで、感染症・災害・サイバーに共通して強い体制へ近づけます。



FAQ



Q1. オールハザード対応は、すべての危機に個別対応することですか?


いいえ。すべてを細かく分けるより、「重要業務をどう守るか」を中心に共通対策を作る考え方です。



Q2. サイバーの専門知識がなくても進められますか?


はい。まずは業務停止時の代替手順や連絡体制の整備から始められます。技術面は必要に応じて専門家と連携すれば十分です。



Q3. どのくらいの頻度で見直すべきですか?


最低でも年1回、できれば体制変更やシステム変更のたびに見直すのが望ましいです。


記事・相談担当者:井浪(いなみ):Amazon/Kindle 著者ページ

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