どこを見て「実態あり・なし」を判断するのか? 厚労省通知をやさしく読む
はじめに
制度の話でいちばん怖いのは、
「たぶん大丈夫だと思っていた」
が、後から通らなかったとわかることです。
今回の通知でも、白黒を決めるカギはとてもシンプルです。
その法人で、役員として本当に仕事をしているか。
そして、その仕事に対して、自然な形で報酬が出ているか。
この2つです。
今日は、厚労省が具体的に何を見ているのかを整理します。
本文
判断の土台は2つ
厚労省通知では、役員の被保険者資格を判断する基準として、次の2つが示されています。
- その業務が、法人の経営に参画する継続的な労務提供か
- その報酬が、その業務の対価として継続的に支払われているか
この2つは、言い換えると
仕事の中身とお金の流れ
です。
報酬面で見られるポイント
今回の通知で特に強く打ち出されたのが、役員報酬より高い会費等を払っている場合です。
厚労省はこの場合、実質的に業務の対価に見合う報酬を受けているとはいえず、原則として「経常的な支払いがある」とは認められないとしています。
さらに、会費の支払い先がその法人そのものではなく関連法人等であっても、役員になるための実質条件になっていたり、資金移動にすぎないと見られる場合には、同じ考え方で扱うとされています。
ここはかなり重要です。
「別法人に払っているから大丈夫」という発想は通りにくい、ということです。
業務面で見られるポイント
厚労省は、次のようなものは原則として、経営参画を内容とする継続的な労務提供に当たりにくいと示しています。
- アンケート回答や勉強会参加など、自己研さんにすぎないもの
- 単なる活動報告や情報共有
- 事業紹介への単なる協力やお願いにとどまるもの
逆に、判断材料になりやすいのは、次のような点です。
- 指揮監督する職員や他の役員がいるか
- 担当業務について決裁権があるか
- 役員間の取りまとめや代表者への報告があるか
- 定期的な会議以外にも業務があり、出勤頻度があるか
「これは危ないかも」と感じるサイン
実務では、次のような状態なら一度立ち止まった方がよいです。
- 自分の役割を言葉で説明しにくい
- 決裁した資料や指示した記録がない
- 報酬の根拠があいまい
- 会費や参加費の方が大きい
- 加入のきっかけが「社会保険料が安くなるから」だった
人は、得になる話を聞くと、仕組みだけを見て安心しがちです。ですが制度は、最後は紙と実態で見られます。ここにズレがあると、一気に不安が大きくなります。
まとめ
「実態あり・なし」は難しそうに見えますが、見られているのは結局、
仕事があるか
その対価が自然か
です。
もしここに違和感があるなら、今のうちに確認することが大切です。
FAQ
Q1. 会議に出て意見を言っていれば十分ですか?
それだけでは足りない可能性があります。厚労省は、会議で意見を述べるだけにとどまる場合は、経営参画の実態として弱い例を示しています。
Q2. 会費があるだけで即アウトですか?
即断はできませんが、役員報酬を上回る会費等は強い問題点として明示されています。関連法人への支払いでも実質が同じなら注意が必要です。
Q3. 記録がないと不利ですか?
実態確認では、業務内容や関与の深さを説明できるかが大切です。決裁、指揮監督、報告、出席頻度などを示せる資料がある方が望ましいです。









