1. 取適法で揉めやすいのはここ:よくある業種とトラブル、双方の対策

ブログ2026.01.11

取適法で揉めやすいのはここ:よくある業種とトラブル、双方の対策

取適法で揉めやすいのはここ:よくある業種とトラブル、双方の対策






取適法で揉めやすいのはここ:よくある業種とトラブル、双方の対策





取適法で揉めやすいのはここ:よくある業種とトラブル、双方の対策



※本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の対応は取引内容や契約状況で変わるため、
必要に応じて専門家へのご相談をご検討ください。





はじめに



ニュースや現場で増えているのは、だいたい次の2つです。

・コストが上がったのに価格が変わらない(価格転嫁の難しさ)

・仕様追加・やり直し・支払い条件で揉める

取適法は、こうした“揉めやすい形”を減らす方向へ動いています。特に運送では、価格転嫁が進みにくい課題が明示されています。







問題①:価格転嫁できずに疲弊(交渉なしの価格決定)



取適法では、協議に応じない一方的な代金決定が禁止行為として追加されています。

つまり「話し合った形を作らずに据え置き」は、リスクが上がります。



委託側(発注側)の対策



  • 見積の根拠を聞き、合意までの記録(メールでOK)を残す

  • 「値上げの相談=拒否」ではなく、「根拠を共有して選択肢を探す」スタンスにする

  • 社内説明が必要なら、受託側に“根拠の一枚資料”を依頼する(材料費・工数・燃料など)



受託側(受注側)の対策



  • 根拠(材料・工数・燃料等)をセットで提示し、協議依頼を文章で残す

  • 「単価UP」だけでなく「仕様の簡略」「回数の削減」「納期調整」など代替案も出す

  • 電話で話した場合も、最後にメールで「本日の合意点」を送って残す




価格の話は感情が入りやすいですが、ポイントは“正しさ”より“記録と合意の形”です。

「協議した事実」が残るだけで、あとからのトラブルは激減します。





問題②:支払いが遅い/実質遅い(手形・一括決済など)



取適法では、手形払いが禁止になり、さらに他の手段でも「期日までに満額を受け取りにくいもの」は禁止対象になり得ます。

これは、受託側の資金繰りを守り、取引を続けやすくするための方向性です。



委託側(発注側)の対策



  • 支払い手段と支払サイトを棚卸しし、禁止リスクがあるものを洗い出す

  • すぐに変えられない場合でも、移行計画(いつまでに何へ変えるか)を作る

  • 受託側から懸念が出たら「資金繰りに影響があるか」を確認し、代替案を協議する



受託側(受注側)の対策



  • 受注前に、支払日・支払方法(手形等の有無)を確認する

  • 難しい条件なら、前払・分割・月次など代替案を提示する

  • 「現金化までの負担」を数字で示す(例:資金繰りに必要な運転資金、手数料など)




支払いは「慣習」で回りがちですが、取適法の流れでは、“昔から”は理由になりにくいです。

双方とも早めに棚卸ししておくほど、急な運用変更で現場が混乱せずに済みます。





問題③:仕様追加・やり直しが“タダ働き”化



不当なやり直し等は禁止事項として整理されています。

特にITや制作は「いつの間にか増える」が起きやすく、受託側が疲弊しやすい分野です。



委託側(発注側)の対策



  • 変更依頼はチケット化し、「追加費用・納期延長」をセットで合意してから着手する

  • 検収条件(何を満たせばOKか)を最初に決め、後出しの基準変更を避ける

  • 依頼の窓口を一本化し、現場の“口頭追加”を減らす



受託側(受注側)の対策



  • 受ける前に「追加扱い」の基準を明確化し、文章で残す

  • 「修正回数」「対応範囲」「納期影響」をあらかじめ提示する

  • やり直し依頼は、理由・範囲・期限を確認し、ログを保存する




仕様追加・やり直しは、放置すると「信頼のすれ違い」になりやすいです。

だからこそ、“追加は追加、修正は修正”と切り分けるだけで、双方がラクになります。





よくある業種別:双方の対策(4カテゴリ)




1) 製造・加工(部品、印刷物、資材など)



取適法の対象取引として「製造委託」が整理されています。

起きがちなのは、後出しの値引き、納期変更、受領拒否、買いたたきなどです。



委託側(発注側)の対策



  • 発注書に仕様・検査・受領日を明記する

  • 価格据え置きの前に、協議の場を作り、記録を残す

  • 納期変更や数量変更がある場合は、影響(追加費用・手戻り)をセットで調整する



受託側(受注側)の対策



  • 材料高騰や外注費の変化など、根拠を提示して価格改定を相談する

  • 仕様変更は追加見積を“先に”出し、合意後に着手する

  • 検査基準・不良の扱いを事前に確認し、受領拒否のリスクを減らす





2) 修理・メンテ(機械修理、設備保守など)



「修理委託」も対象類型として整理されています。

起きがちなのは、追加作業の押し込み、検収引き延ばし、支払い遅れです。



委託側(発注側)の対策



  • 追加修理の条件(上限金額・事前承認のルール)を決める

  • 検収の担当者と期限を決め、止まらないようにする

  • 現場依頼が増えやすい場合、依頼窓口を統一する



受託側(受注側)の対策



  • 写真・作業報告で“証拠化”し、検収が通る条件を先に確認する

  • 追加作業が出たら、口頭のまま進めず、合意(メール)を取る

  • 緊急対応の料金体系(出張費、夜間対応など)を先に提示する





3) IT・システム開発/Web制作/広告・デザイン



プログラム作成などの「情報成果物作成委託」や、運送・倉庫保管・情報処理の「役務提供委託(限定)」が整理されています。

起きがちなのは、仕様の増殖、無償修正、成果物の受領拒否、価格の一方決定です。



委託側(発注側)の対策



  • 要件定義(目的・範囲・成果物・検収)を合意してから走り出す

  • 変更は「見積再提示→承認→着手」の順に統一する

  • 曖昧な依頼(“いい感じに”)を減らし、判断基準を言語化する



受託側(受注側)の対策



  • スコープ(含む/含まない)を明文化し、無償対応の範囲を決める

  • 修正回数・範囲・納期影響を契約または発注メールに入れる

  • 仕様変更が発生したら、作業前に追加費用と納期を提示し、合意を取る





4) 物流(運送)・倉庫(保管)



取適法では「特定運送委託」が追加されています。

また、運送の価格転嫁が進みにくい課題が明示され、実務整備が急務とされています。

起きがちなのは、燃料・人件費増でも運賃据え置き、付帯作業の無償化、支払いサイト長期化です。



委託側(発注側)の対策



  • 燃料サーチャージ等の見直し条項を検討する(定期改定の仕組みづくり)

  • 付帯作業(待機、荷役、仕分けなど)を“別料金”に切り分ける

  • 支払い条件(方法・サイト)を棚卸しし、現場が困らない形へ移行する



受託側(受注側)の対策



  • 原価要素(燃料・待機・荷役)を見える化し、定期改定の協議を提案する

  • 付帯作業の範囲を明確にし、無償対応が常態化しないようにする

  • 価格交渉は、根拠とセットで「いつ、どの条件を、どう変えたいか」を文章で提示する





業種は違っても、揉める理由は似ています。

「記録がない」「切り分けがない」「協議の形がない」

この3つを埋めるだけで、取引のストレスとリスクはかなり減らせます。





まとめ+要約



  • 近年の揉めどころは「価格転嫁」「支払い条件」「やり直し・仕様追加」

  • 取適法は“一方的に決める・実質遅い支払い”を減らす方向へ

  • 業種別に、委託側・受託側の双方が“記録と切り分け”で守れる





FAQ(3問)



Q1. うちは中小同士ですが関係ありますか?



条件次第で対象になり得ます。従業員数の基準が加わったことで、これまで対象外と思っていた取引でも
当てはまるケースが増えています。相手が対象か不明な場合でも、実務上は準拠対応(発注の明確化、協議記録、支払い条件の整理)
に寄せるとリスクを減らせます。



Q2. 倉庫や情報処理の外注も関係しますか?



関係し得ます。役務提供委託は対象が限定されますが、代表例として運送・倉庫保管・情報処理が挙げられています。

取引の実態(誰が、何を、どの条件で委託しているか)を整理すると判断しやすいです。



Q3. “協議した”って、どこまでやればいい?



大げさな会議でなくても大丈夫です。

メールやチャットで「根拠の提示→質問→回答→合意」を残せば、実務上の防波堤になります。

趣旨は、協議を“形”にして、あとから見返せる状態にすることです。






記事・相談担当者:井浪(いなみ):Amazon/Kindle 著者ページ

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