1. TCOとリスク(ALE)の基礎理論

ブログ2025.10.30

TCOとリスク(ALE)の基礎理論

TCOとリスク(ALE)の基礎理論






Day2|TCOとリスク(ALE)の基礎理論





Day2:ムダを見抜くレンズ——TCOとリスクの基礎理論(小さな会社のための超要約)




はじめに


料金表の比較はわかりやすい一方で、見えないコスト(手間、機会損失、事故時損害)を取りこぼします。
今日は、TCO(総保有コスト)ALE(年間損失期待値)という2つの物差しで、通信・セキュリティ費用を“納得のいく根拠”に変えます。




目次



  • TCO(総保有コスト)の分解

  • ALE(年間損失期待値)の考え方

  • 事業用と個人用が混在する場合のコスト歪み

  • 小さな会社の“判断式”テンプレート

  • まとめ

  • FAQ(3問)



本文



TCO(総保有コスト)の分解



  • 直接費:回線基本料、端末割賦、オプション、セキュリティサブスク、保険

  • 間接費:管理の手間、トラブル対応時間、設定・教育、名義混在の調整

  • 機会損失:回線障害やインシデントで止まった時間の売上・信用低下


ミニ式TCO = 直接費 + 間接費 + 機会損失



ALE(年間損失期待値)の考え方



  • SLE(単発損失):1回事故が起きたときの損害額

  • ARO(発生頻度):1年に何回起きる見込みか

  • ALE = SLE × ARO


例えば、



  • ランサム被害で停止1日=SLE 80万円、年0.2回=ARO → ALE 16万円/年

  • 端末紛失で情報漏洩対応=SLE 50万円、年0.3回 → ALE 15万円/年



混在が生む“コストの歪み”


個人スマホの業務常用/個人名義の回線に事業データがある状態は、事故時の対応コストが跳ね上がります(連絡、切り分け、再発防止の設計変更)。見えない間接費が累積し、結果的にTCOが高止まりしがちです。



判断式テンプレート(小規模向け)


【導入・変更の意思決定】
- 条件A:代替案に対し、TCOが12ヶ月で▲10%以上下がる
- 条件B:TCOが同等でも、ALEが▲30%以上下がる
- 条件C:法令・取引要件(例:個人情報保護・取引先の要件)を満たす
→ AまたはBを満たし、Cに抵触しない案を採用




まとめ



  • TCOで全体像、ALEで“守り”の根拠化。

  • 名義・用途の混在は間接費とALEを押し上げる。

  • 次回は、実例で数字の動き方を体感します。



FAQ(3問)


Q1. ALEの数値はどうやって決める?

A. 過去トラブル、近い業態の事例、社内ヒアリングで概算します。まずは“粗い仮定”でOKです。



Q2. どこまで厳密に?

A. 最初はざっくりで十分。意思決定の比較ができれば目的達成です。



Q3. 法令は何を気にする?

A. 個人情報の扱い・端末管理・ログ保全など。最低限のルールをDay4で雛形化します。


記事・相談担当者:井浪(いなみ):Amazon/Kindle 著者ページ


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