改正物流効率化法で今すぐやるべきこと|運送事業者向け実践まとめ
はじめに
ここまで4日間にわたり、改正物流効率化法について見てきました。
最初は難しく感じたかもしれません。
しかし、運送事業者がやるべきことは、決して特別なことばかりではありません。
現場の時間を記録する。
荷役作業を整理する。
待機が長い取引先を見つける。
荷主と改善を相談する。
積載効率や運行のムダを見直す。
つまり、今まで現場で感じていた「困りごと」を、きちんと見える形にして、改善につなげることです。
最終日のこの記事では、今すぐやるべきことを実践順に整理します。
まず押さえるべき制度の全体像
改正物流効率化法では、すべての荷主・物流事業者に対して、物流効率化への取り組みが求められています。主な取り組みは、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮です。
さらに、2026年4月からは、一定規模以上の荷主・物流事業者が「特定事業者」として、中長期計画や定期報告などの対応を求められる段階に入りました。
この流れの中で、運送事業者は次の2つを意識する必要があります。
1つ目は、自社として物流効率化に取り組むこと。
2つ目は、取引先の荷主が対応を進める中で、協力や情報提供を求められる可能性があることです。
だからこそ、今から準備しておくことが大切です。
今すぐやるべき5つの対応
1. 対象になりそうな取引先を確認する
まず、自社の取引先の中で、規模が大きい荷主や物流事業者を確認します。
大手メーカー、大手卸、小売チェーン、物流子会社、大規模倉庫などは、制度対応を進めている可能性があります。
取引先が対応を始めると、運送会社にも次のような依頼が来ることがあります。
待機時間を教えてほしい。
荷役時間を教えてほしい。
改善できる点を出してほしい。
納品条件を見直したい。
先に準備しておけば、慌てずに対応できます。
2. 待機時間を記録する
最優先で始めたいのが、待機時間の記録です。
記録する項目は、まず4つで十分です。
到着時刻。
作業開始時刻。
作業終了時刻。
出発時刻。
これだけで、荷待ち時間と荷役時間の把握につながります。
全取引先で一気に始める必要はありません。
まずは、待機が長い上位3つの現場から始めましょう。
3. 附帯作業を書き出す
次に、ドライバーが行っている附帯作業を書き出します。
検品。
仕分け。
棚入れ。
ラベル貼り。
開梱。
パレット積み替え。
伝票処理。
長距離の構内移動。
これらが当たり前になっている現場ほど、見直しの余地があります。
大切なのは、「これは誰の責任か」と責めることではありません。
まず、どんな作業があり、どれくらい時間がかかっているかを見えるようにすることです。
4. 荷主別の改善リストを作る
次に、荷主別に改善リストを作ります。
項目はシンプルで構いません。
荷主名。
主な積込先・納品先。
平均待機時間。
荷役負担。
よく起きる問題。
改善案。
相談の優先度。
これを作ると、「どこから話すべきか」が見えてきます。
すべての荷主に一度に相談する必要はありません。
まずは、改善効果が大きく、関係性の良い荷主から始めるのがおすすめです。
5. 社内の相談窓口を決める
最後に、社内で誰がこのテーマを担当するのか決めておきます。
配車担当。
運行管理者。
経営者。
営業担当。
安全管理担当。
会社の規模によって兼務でも構いません。
ただし、「誰かがやるだろう」にしておくと、対応が進みません。
月に1回でもよいので、待機時間、荷役時間、荷主からの相談状況を確認する場を作りましょう。
荷主との相談で使える伝え方
荷主に相談するときは、次のように伝えると角が立ちにくくなります。
法改正への対応もあり、弊社でも荷待ち時間と荷役時間の記録を始めました。
現状を確認したところ、Aセンターでは平均して約60分の待機が発生しています。
納品時間帯の分散や受付方法の見直しで、運行の安定につながる可能性があります。
御社の物流効率化にもつながる内容ですので、一度相談のお時間をいただけないでしょうか。
このように、相手を責めず、共通の課題として話すことが大切です。
改正物流効率化法は、荷主と運送会社のどちらか一方だけが頑張る制度ではありません。
物流を止めないために、関係者が一緒に改善するための仕組みです。
やってはいけない後回し対応
最後に、避けたい対応を整理します。
まず、「うちは対象外だから関係ない」と決めつけることです。
直接の義務対象でなくても、取引先から協力を求められる可能性があります。
次に、「記録がないまま荷主に相談すること」です。
感覚だけでは、相手も動きにくくなります。
そして、「ドライバーの我慢で吸収すること」です。
これまで通り現場に負担を寄せるだけでは、採用難や離職につながります。
最後に、「法律対応を事務処理だけで終わらせること」です。
本来の目的は、物流を効率化し、持続可能な形にしていくことです。
無料相談につなげる前の整理ポイント
もし自社だけで整理が難しい場合は、外部に相談するのも一つの方法です。
相談前には、次の情報をまとめておくと話が早く進みます。
主な取引先。
待機が長い現場。
荷役負担が大きい作業。
ドライバーから不満が出ている納品先。
荷主から受けている依頼。
今後不安に感じていること。
完璧に整理できていなくても大丈夫です。
大切なのは、「どこから手をつければよいか」を明確にすることです。
まとめ+要約
2026年4月から、改正物流効率化法は新しい段階に入りました。
運送事業者が今すぐやるべきことは、次の5つです。
対象になりそうな取引先を確認する。
待機時間を記録する。
附帯作業を書き出す。
荷主別の改善リストを作る。
社内の相談窓口を決める。
難しく考えすぎる必要はありません。
まずは、現場の時間を見えるようにすること。
そして、記録をもとに荷主と相談すること。
この2つが、法律対応の第一歩であり、同時に運送会社の経営を守る一歩になります。
「知らなかった」ではなく、
「今から整えていく」。
その姿勢が、これからの取引先との信頼につながります。
FAQ
Q1. まず何から始めればよいですか?
待機時間の記録から始めてください。到着時刻、作業開始時刻、作業終了時刻、出発時刻を残すだけでも、改善相談の材料になります。
Q2. 荷主からまだ何も言われていません。それでも準備すべきですか?
はい。荷主側の対応が進むと、急に情報提供を求められる可能性があります。先に準備しておくことで、慌てずに対応できます。
Q3. 自社だけで対応するのが不安な場合はどうすればよいですか?
まずは現状を整理し、どの荷主・どの現場で困っているかを書き出してください。そのうえで、必要に応じて外部相談を活用すると、優先順位を決めやすくなります。









