年末までに見直したいサイバー対策5つのチェックリスト|今日からできる具体的アクション
Day1では「年末はなぜサイバーリスクが高まるのか」、Day2では「サイバーリスクの全体像」、
Day3では「実際に起こりがちな3つの事例」を見てきました。
ここまで読んでいただいた方は、すでに
- 年末は確かにリスクが高まりやすい
- 自社にも当てはまりそうなポイントがある
と感じていらっしゃるのではないでしょうか。
Day4のテーマは、いよいよ「具体的な対策」です。
といっても、特別なシステムや高価なツールを入れましょう、という話ではありません。
ここでは、中小企業・個人事業主でも、今日から一つずつ進められる5つの対策を、
チェックリスト形式で整理していきます。
すべてを完璧にやる必要はありません。
読みながら「ここだけは今年の年末までにやっておこう」と思えるポイントを、1つでも見つけていただければ十分です。
1. 年末までに見直したい5つの具体的対策とは?
今回ご紹介する対策は、次の5つです。
- 対策1:重要アカウントのパスワードと多要素認証を見直す
- 対策2:バックアップの「頻度・場所・復元テスト」を確認する
- 対策3:請求書メール・振込依頼メールへの対応ルールを整える
- 対策4:テレワーク・持ち出し機器の安全な使い方を決める
- 対策5:もしものときの連絡体制・初動手順を決めておく
どれも、技術的には難しいものではありません。
大切なのは、
- 「何となく」ではなく、紙やルールとして形にすること
- 年末という区切りを使って、最低限ここまではやっておくラインを決めること
それでは、一つずつ見ていきましょう。
2. 対策1:重要アカウントのパスワードと多要素認証を見直す
まず最初は、「アカウントの入り口」の見直しです。
ここが弱いままだと、どれだけ他を固めても、後ろからドアが開いている状態になってしまいます。
2-1. 「重要アカウント」を洗い出す
すべてのアカウントをいきなり見直そうとすると大変です。
まずは、次のような「重要アカウント」だけに絞って洗い出してみてください。
- インターネットバンキング・決済サービス
- 顧客管理システム(CRM)や会計ソフト
- 社内のクラウドストレージ(○○Drive、○○Boxなど)
- 会社用メールアカウント・グループウェア
2-2. 年末チェックリスト
※すべてにチェックが付かなくても大丈夫です。「どこまでできていて、どこがまだか」が見えることが第一歩です。
ポイント:
重要アカウントだけでも、パスワードの見直し+多要素認証の設定ができれば、
サイバーリスクの入り口を大きく狭めることができます。
3. 対策2:バックアップの「頻度・場所・復元テスト」を確認する
ランサムウェアなどでデータが暗号化されてしまったとき、
最後の砦になるのがバックアップです。
ただし、
- バックアップを「取っているつもり」だったが、実は半年以上前のものしかなかった
- バックアップから戻す方法が分からず、復旧に時間がかかってしまった
といったケースも少なくありません。
3-1. 「どのデータを守りたいか」を決める
まずは、次のようなデータのうち、「止まると困るもの」をチェックしてみてください。
- 顧客リスト・取引先リスト
- 会計データ・請求書・見積書
- 自社で作成した企画書・マニュアル・テンプレート
3-2. 年末チェックリスト
※復元テストは、年に1回でも行っておくと、「いざというときに本当に使えるか」を確認できます。
4. 対策3:請求書メール・振込依頼メールへの対応ルールを整える
Day3の事例でも触れたように、年末は請求書メールを狙った攻撃が増えやすいタイミングです。
経理担当が1人だけの会社や、兼務で対応している会社ほど、
シンプルでも良いので「迷ったときのルール」を決めておくことが大切です。
4-1. ルールは「細かくしすぎない」のがコツ
ルールを作るときにありがちなのが、「すべてのパターンを書き出そうとして挫折する」ことです。
ここでは、最低限次のような「赤信号」だけでも決めておくと安心です。
- 振込先が今までと違う場合は、必ず別の方法(電話など)で確認する
- 請求書の添付ファイルが「ZIP」などの圧縮ファイルの場合は、すぐに開かず、送信元に確認する
- 「至急」「本日中」といった強い言葉が使われている場合こそ、一度立ち止まる
4-2. 年末チェックリスト
5. 対策4:テレワーク・持ち出し機器の安全な使い方を決める
ノートPCやスマートフォンを外に持ち出して仕事をする機会が増えると、
盗難・紛失・のぞき見・公共Wi-Fiのリスクがついてきます。
すべてを完璧に防ぐことはできませんが、最低限次のようなルールを決めておくだけでもリスクを大きく減らせます。
5-1. 年末チェックリスト
※テレワークのルールは、長い文書にする必要はありません。
A4一枚程度に「やってはいけないこと」「迷ったときの連絡先」をまとめるだけでも効果があります。
6. 対策5:もしものときの連絡体制・初動手順を決めておく
どれだけ対策をしても、サイバー事故のリスクをゼロにすることはできません。
だからこそ、「もしも」のときにどう動くかを決めておくことが大切です。
特に年末は、担当者が不在だったり、すぐに相談できる相手が限られることもあります。
そこで、次のような「初動マニュアルのたたき台」を用意しておくと安心です。
6-1. 年末チェックリスト
ポイント:
いざというときに一番困るのは、「誰に相談すればよいか分からない」状態です。
連絡先が1つ決まっているだけでも、初動のスピードは大きく変わります。
7. 5つの対策を「今日から動く計画」に落とし込む
ここまでで、5つの具体的対策を見てきました。
最後に、これらを「今日から動ける計画」にするための簡単なステップをご紹介します。
- 5つの対策の中から、「特に気になるもの」を1〜2つ選ぶ
- 年末までのスケジュールの中で、「この週にこれをやる」と決める
- 社内の関係者に、「今年はここだけは見直したいです」と共有する
もし余裕があれば、「来年の上半期に取り組むこと」として、
残りの対策をメモしておくのもおすすめです。
大切なのは、「やらなきゃ…」と漠然と不安を抱え続けるのではなく、
小さくても具体的な一歩に変えていくことです。
まとめ・要約
- 年末はサイバーリスクが高まるタイミングだからこそ、「どこまでできているか」「どこが弱いか」をチェックする良い機会です。
- この記事では、①アカウント、②バックアップ、③メール対応、④テレワーク、⑤緊急連絡体制の5つの具体的対策を紹介しました。
- すべてを完璧にする必要はなく、「今年の年末までに1つ〜2つでも前進させる」ことが現実的で効果的な進め方です。
- チェックリスト形式で見直すことで、感覚ではなく、「何ができていて、何がこれからか」がはっきりします。
- 次回Day5では、今回の対策を踏まえたうえで、来年以降に向けた「継続的なサイバーリスク管理」の考え方を整理していきます。
FAQ
A. 会社の状況にもよりますが、一般的には「アカウント(対策1)」と「バックアップ(対策2)」から着手することをおすすめしています。
被害が出たときの影響が大きく、かつ、比較的短時間でも前進させやすい領域だからです。
A. すべてを一度にお願いするのではなく、「今年はこの1つだけ一緒に整えたい」と、テーマを絞ってお願いするのがポイントです。
そのうえで、「なぜそれが必要なのか」「どんな事故を防げるのか」を、具体的な事例とセットで伝えると、納得してもらいやすくなります。
A. 「どこから手をつけるべきか分からない」「自社で決めたルールに漏れがないか不安」と感じたタイミングが、相談の良いきっかけになります。
まずは社内でチェックリストを使って現状を整理し、その結果をもとに相談すると、より具体的なアドバイスを受けやすくなります。









