ICT×専任合理化の実務:2時間ルール・連絡員・計画書まで一気通貫で整える
はじめに
人材難でも案件は途切れない
——そんな現場で、同じ人数で“品質と収益”を守る現実解が「専任合理化×ICT活用」です。
改正により、専任技術者の兼任(2ルート)と、ICT活用を前提にした現場管理の効率化が進みました。
本稿は「要件の誤解でリスクを踏まない」「投資の回収を数値で見える化」まで踏み込みます。
目次
専任合理化の全体像(“2つの兼任ルート”)
ルートA|専任工事現場の「技術者本人」が別現場を兼任(専任特例1号)
- 請負金額:1億円未満(建築一式は2億円未満)
- 兼任現場数:最大2現場
- 移動時間:現場間の移動が概ね2時間以内
- 下請段数:3次まで
- その他:連絡員配置、ICTによる施工体制の確認、人員配置計画書の作成・保存 等
ルートB|「営業所技術者等」が専任工事の職務を兼務(第26条の5)
- 対象:当該営業所締結工事であること
- 請負金額:1億円未満(建築一式は2億円未満)
- 兼任現場数:1現場
- 営業所〜現場:概ね2時間以内
- 下請段数:3次まで(ほかA同様の要件)
いずれも情報通信機器の活用・施工体制を確認できるICT措置・人員配置計画書の作成・保存・連絡員配置が要件化。令和7年2月1日施行で金額基準が引き上げ済。
兼任の制度要件(実務で外さないポイント)
- 金額閾値:1億円(建築一式は2億円)未満。
- 兼任可能数:ルートA=2現場以下/ルートB=1現場。
- 距離・時間:1日で巡回可能かつ概ね2時間以内。
- 下請段数:3次まで。
- 連絡員の配置:監理技術者等との連絡等のための者(土木・建築一式は当該種類の実務経験1年以上)。
- ICT措置:施工体制確認ができるICTの整備/現場状況確認用の機器設置。
- 計画書:人員配置計画書を作成・保存(参考様式あり)。
詳細運用は監理技術者制度運用マニュアルで明確化(令和7年2月1日改正適用)。
ICT指針の実装ポイント(バックオフィス~現場)
- バックオフィス:元下間の書類やり取りの合理化、CCUS・建退共の電子申請、電子契約の積極活用。電子契約の導入は「全部電子1.7%/一部電子15.3%/全て書面83.0%」という現状で改善余地大。
- 現場:ドローン/3Dスキャナ/BIM/CIM/ウェブ・ウェアラブルカメラ等を、工種・要求精度に応じて選定。人材育成と下請連携をセットで。
- 総論:ICT活用は特定建設業・公共工事受注者にとどまらず、全ての建設業者に拡大が期待。
公共工事:施工体制台帳“提出合理化”
公共では、発注者がシステムで施工体制を確認できる措置がある場合、台帳の提出を不要とできます(提出義務自体は存置)。現場書類の夜間残業を減らす狙いです。
KPI設計と投資回収(補助金も活用)
- 人員×現場:技術者1人あたり同時管理現場数(A:最大2/B:最大1)と移動時間(2時間目安)を月次ダッシュボード化。
- 証跡:計画書作成率100%/連絡員要件充足率100%/ICT稼働率をKPIに。
- 電子化:電子契約比率、CCUS就業履歴登録率、書類電子化率。
- 補助金:中小企業省力化投資補助金(補助率~1/2、上限200~1,000万円※従業員規模別、上限加算あり)。ICT機器導入の後押しに。
今日からできるチェックリスト
- どのルートで兼任するか(A/B)を案件別に決定。
- 金額・距離・下請段数・現場数を要件表で可視化。
- 連絡員の人選と証明(実務1年以上)、監理技術者補佐の活用可否の判断。
- 施工体制確認ICTと現場カメラの整備、人員配置計画書の運用開始。
- 公共案件は台帳提出合理化の適用可否を発注者と事前協議。
まとめ
- 専任合理化は2ルート:A=技術者本人の兼任(最大2現場)/B=営業所技術者が専任現場を兼務(1現場)。いずれも1億円(建築一式2億円)未満、2時間、下請3次、連絡員、ICT、計画書がカギ。
- ICT指針:バックオフィス(書類・CCUS・電子契約)~現場(BIM/CIM等)まで一体で推進。
- 公共:施工体制台帳の提出合理化が可能(システム確認が条件)。
FAQ(3問)
Q1. “2時間”は厳密な上限ですか?
「概ね2時間以内」という省令上の目安です。他の要件(現場数・金額・下請段数・ICT等)とセットで満たす必要があります。
Q2. 連絡員は誰でもよい?
役割は監理技術者等との連絡・必要措置。土木一式・建築一式は当該種類の実務経験1年以上が必要です。
Q3. 電子化は何から始めるべき?
電子契約・CCUS・建退共電子申請から着手し、施工体制確認ICTと現場カメラへ段階導入が現実的です。









