1. 2025年10月施行「改正・育児・介護休業法」—経営者/人事のための実務ガイド

ブログ2025.10.09

2025年10月施行「改正・育児・介護休業法」—経営者/人事のための実務ガイド

2025年10月施行「改正・育児・介護休業法」—経営者/人事のための実務ガイド

Day1:2025年10月施行「育児・介護休業法」改正:経営と人事がまず押さえる5大ポイント





はじめに


昨日(10月1日)から、改正「育児・介護休業法」の主要項目が本格施行となりました。
現場では「誰が対象? 何を、いつまでに?」という実務の疑問が噴出しやすいタイミングです。
本稿では、経営者と人事労務の視点で改正の全体像をコンパクトに整理し、どの部門にどう影響するかを明確にします。







目次



  • 改正の背景とビジネス影響

  • 10/1施行のコア改正:柔軟な働き方を実現するための措置

  • 対象者と事業主の義務(選択・周知・意向確認)

  • 子の看護等休暇/残業免除(所定外労働の制限)等の見直しポイント

  • 実務リスク(労使紛争・均衡待遇・ハラスメント)

  • よくある誤解と是正







改正の背景とビジネス影響



  • 共働きが前提化:共働き世帯は1,300万超へ。人材確保・定着は「両立設計」の巧拙に左右されます。

  • 介護・育児の同時発生リスク:ミドル層を中心に、育児・介護のダブルケアが増加。柔軟な働き方への制度設計が競争力に直結します。

  • 労務コストの最適化:テレワークや短時間勤務の設計次第で、欠員・代替要員・教育コストが変動します。


制度名の暗記より、何が義務で、誰に、いつからを掴むことが最優先です。





10/1施行のコア改正:柔軟な働き方を実現するための措置


対象 3歳以上〜小学校就学前の子を養育する労働者



事業主の義務 下記5つのうち2つ以上を選択して制度化。
労働者はその中から1つを選択して利用可。




  1. 始業・終業時刻の変更(フレックス/時差出勤 等)

  2. テレワーク等(月10日以上利用可、原則時間単位取得可)

  3. 保育施設の設置運営等(ベビーシッター手配・費用負担含む)

  4. 養育両立支援休暇の付与(年10日以上、原則時間単位取得可)

  5. 短時間勤務制度(一日6時間措置を含む)



労使手続:選択にあたって過半数組合等の意見聴取が必要。就業規則・社内規程へ反映。





対象者と事業主の義務



  • 3歳未満の子を養育する労働者に対して、子が3歳になる前の適切な時期(1歳11か月の翌々日〜2歳11か月の翌日)に、

    • 事業主が選択した対象措置(2つ以上)の内容

    • 申出先(人事部 等)

    • 所定外労働(残業免除)・時間外労働・深夜業の制限制度


    個別周知・意向確認する義務。方法は面談/書面/(労働者希望時)FAX・メール。オンライン面談可。


留意:利用を控えさせるような周知・確認は不可。復職時・利用期間中の定期面談が望ましい。






子の看護等休暇/残業免除等の見直しポイント



  • 子の看護等休暇(2025/4〜)

    • 名称変更(旧:子の看護休暇)

    • 対象拡大:小学校3年生修了まで

    • 取得事由追加:感染症に伴う学級閉鎖、入園・入学式、卒園式

    • 除外規定の見直し:勤続6か月未満の除外を撤廃(週2日以下のみ除外可)




  • 所定外労働の制限=残業免除(2025/4〜)

    • 対象拡大:3歳未満 → 小学校就学前へ。
      申出があれば免除に応じる必要。



  • 時間外労働の制限・深夜業の制限(従来どおり)

    • 時間外:月24時間・年150時間を超える法定時間外を禁止

    • 深夜業:22時〜5時の深夜業務を制限




ポイント:10/1施行の「柔軟措置の選択・提供」がフルタイムでの柔軟性を担保。4月施行分と併せて、ライン長・人事・情シスの横断実務が必須です。






実務リスク



  • Q1:利用希望が集中して現場が回らない → シフト/案件単位での「利用上限の設計」と、代替配置ルール(スキルマトリクス)を事前に。

  • Q2:対象外者との不公平感 → 公募型テレワークや事情ヒアリング枠を設け、審査基準・優先順位を明文化。

  • Q3:上司の萎縮・言動リスク → NGワード例示と面談テンプレを整備。意向確認は促進であって抑止ではないことを研修で徹底。






よくある誤解と是正



  • :「2つ以上の措置は用意だけすればOK」
    労働者が選択し実際に利用できる状態であることが前提(運用・稼働実績が問われ得る)。

  • :「テレワークは“推奨”で義務ではない」
    10/1施行の柔軟措置として月10日以上のテレワーク選定は選択肢の一つ。選ばない場合も、2つ以上の代替措置の制度化が必要。

  • :「周知は一斉メールで済む」
    個別周知・意向確認が義務。面談/書面/希望時のFAX・メール等で一人ひとり対応。


まとめ




  • 誰に:3歳〜就学前の子の養育者/3歳未満は周知・意向確認対象

  • 何を:5つの柔軟措置から2つ以上を制度化し、労働者が1つ選択して使えるように

  • いつから:2025/10/1(関連改正は2025/4/1〜段階施行)

  • 併せて:子の看護等休暇の拡大、所定外労働の制限拡大(月24h/年150h指標)







FAQ(3問)



Q1. パート・有期も対象ですか?

雇用形態を問わず、要件を満たす労働者が対象です。短時間勤務の設計は所定労働時間を基準にします。

Q2. 5つのうち“何を選ぶか”の決め方は?

人員構成と職種の特性で現実的な利用見込みを試算し、労使ヒアリングで優先順位を決めます。テレワークは情報セキュリティ・工数管理の準備が必要です。

Q3. 10/1前に周知したが有効?

施行前の周知・意向確認も、施行後に行われたものと見なされます(様式・記録を保存してください)。


記事・相談担当者:井浪(いなみ):Amazon/Kindle 著者ページ

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