ブログ2025.08.28
終活 財産をどう整理・把握するか|相続・贈与まで見据えた実務テンプレ
終活 財産をどう整理・把握するか|相続・贈与まで見据えた実務テンプレ
終活において最も大きな負担となりやすいのが、財産の整理と把握です。
通帳や保険証券、不動産の登記事項、ネット証券や年金、さらにはサブスクやローンまで――情報が点在していると、いざという時に家族が混乱し、心理的にも時間的にも大きな負担を背負ってしまいます。
本稿では60代前後の親世代と、その親を支える子世代に向けて、今日から取り組める棚卸の具体手順と確認の着眼点を、テンプレート付きで解説します。
目次
- 財産の整理と把握の目的:親子で進める意義
- 棚卸の全体像:5ステップ
- 資産カテゴリ別チェックポイント
- 証憑・重要書類の集約と保管マップ
- 相続・贈与につながる基本と注意点
- 統計・傾向:把握不足が生むロス
- 棚卸テンプレート&チェックリスト
- 連載のつながり
- まとめ
財産の整理と把握の目的:親子で進める意義
財産の棚卸には3つの大きな意味があります。
①所在の明確化:何がどこにあるのかを整理し、家族が迷わず把握できる状態にする。
②意思の可視化:相続や贈与に関する意向、処分の優先順位を記録し、迷いや衝突を減らす。
③実務の効率化:手続きや保険金請求をスムーズに進め、時間や手間を削減する。
これらは親世代だけ、子世代だけでは完結しません。親子が分担し、共有するからこそ効果が生まれるのです。
棚卸の全体像:5ステップ
- Step1|全体のリストアップ:まずは所在だけを思い出しながら書き出す。
- Step2|証憑の回収:通帳や証券口座、保険証券、契約書を紐づける。
- Step3|名義と期限の確認:共同名義や満期条件、更新状況をチェック。
- Step4|優先度づけ:不要な契約や古い口座を整理、保険の受取人も再確認。
- Step5|更新ルール:年1回の見直し日を設定し、更新履歴を残す。
資産カテゴリ別チェックポイント
金融資産、不動産、保険、負債、事業資産、貴重品・契約類――それぞれに固有のリスクや確認項目があります。
例えば「古い証券口座の放置」「不動産の境界や共有持分の不明確さ」「保険の受取人が昔のまま」などは、相続時に大きな障害となります。カテゴリごとの棚卸を丁寧に行いましょう。
証憑・重要書類の集約と保管マップ
大切なのは「一元化」と「探しやすさ」。
通帳、印鑑、マイナンバー、保険証券、登記事項証明書、年金関係、パスポートなどは耐火金庫などにまとめ、インデックスを付けて保管。
パスワードなどデジタル情報は直接書かず、保管方法(アプリ名や封筒の場所など)だけを明記するのが安全です。
相続・贈与につながる基本と注意点
相続や贈与は税制や制度の影響を受けるため、正しい情報の整理が欠かせません。
例えば、遺産分割の方針はエンディングノートに記録し、より確実に反映したい場合は遺言書を検討。
生前贈与は非課税枠や申告要否を確認し、名義の整理漏れ(預金・不動産・車両・保険など)は早めに見直しましょう。
必要に応じて専門家の意見を取り入れることも大切です。
統計・傾向:把握不足が生むロス
調査によれば、未請求の保険金や所在不明の口座は決して少なくありません。
把握不足は「請求遅延」「期限徒過」「休眠化」につながり、家族の不利益となります。
だからこそ、早期の棚卸と定期的な見直しが何よりも有効なのです。
棚卸テンプレート&チェックリスト
資産・負債を整理するための簡易シートや、解約・見直しチェックリストを活用すれば、効率的に棚卸を進められます。
「1回90分×3回」など時間を区切ることで、無理なく進められるのもポイントです。
連載のつながり(①②④との関係)
①エンディングノートで意思と所在を記録 → ②葬儀・お墓の希望を整理 → ③財産の整理と把握で実務を固める → ④デジタル情報の引き継ぎを準備。
この流れを整えることで、家族の安心と実務の効率化が一貫して実現します。
まとめ
財産の整理と把握は終活の「土台」です。
完璧を目指さず、まずは所在の一覧化から始めましょう。
次に証憑を束ね、名義や受取人を確認し、不要な契約を整理。
年に一度の更新日を決めれば、情報の鮮度は保たれます。
そして何よりも、こうした整理をエンディングノートに反映しておくことで、家族は迷わず手続きを進められます。
今この瞬間から少しずつ始めてみませんか。相談や準備の第一歩が、未来の安心につながります。
記事・相談担当者:井浪(いなみ)
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